労働保険事務組合とは

労働保険への加入手続や労働保険料の申告、納付の手続きは、事業規模の小さい事業所には負担が大きい場合があります。そこで、厚生労働大臣に認可された事業主の団体が、構成する事業主に代わって労働保険事務を行えるようにしたのが、労働保険事務組合です。

労働保険事務組合は既存の団体(事業協同組合、協同組合連合会など)に労働保険事務の代行が付加されたもので、事業主の委託によって労働保険事務の処理をするものです。

委託できる事業主

労働保険事務組合の主旨から中小零細事業に限られます。事業の種類と労働者数は次の通りです。

事業の種類使用労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業常時50人以下
卸売業、サービス業常時100人以下
その他の業種常時300人以下

原則としては、事務処理を委託できる事業主は労働保険事務組合である団体又は連合団体の構成員ですが、必要と認められる場合は構成員で内事業主でも委託することができます。

さらに地理的範囲として、労働保険事務組合の主たる事務所がある都道府県に主たる事務所を持つ事業主が対象ですが、隣接する都道府県に主たる事務所がある事業主も委託できます。(ただし、全委託事業主の20%以内とされます)

委託事務の範囲

委託できる事務は次の通りです。

  • 概算保険料、確定保険料などの申告及び納付に関する事務
  • 保険関係成立届、任意加入の申請、雇用保険の事務所設置届の提出等に関する事務
  • 労災保険の特別加入の申請等に関する事務
  • 雇用保険の被保険者に関する届出等の事務
  • その他労働保険についての申請、届出、報告等に関する事務

委託できない事務は次の通りです。

  • 印紙保険料(※1)に関する事務
  • 保険給付に関する請求等に係る事務
  • 雇用二事業(※2 )に係る事務

※1印紙保険料とは

雇用保険法における日雇労働被保険者については、一般保険料とは別に賃金を払う都度、日雇労働被保険者に交付されている日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼って、これに消印することで支払う保険料のことを印紙保険料と言います。雇用が不安定な日雇労働被保険者が失業した場合に、印紙保険料の納付状況により給付額や期間が決定されます。

※2雇用二事業とは

雇用保険法において、被保険者等の失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大等を図るために行われる雇用安定事業と、被保険者等の職業生活全期間を通じて、能力を開発し、向上させることを推進する能力開発事業の2つを雇用二事業といいます。雇用保険の給付は原則として被保険者等に対して行われますが、雇用二事業は事業主に対して助成金の形で行われます。

このページの先頭へ