概算保険料と確定保険料

一般的な事業は労働保険の保険料は年度初めに概算払いし、翌年の概算払いするときに清算して確定保険料を納付します。つまり、昨年の概算払いした保険料に不足があれば不足分を払い、同時に今年度の概算払いを行います。

概算払いした保険料が不足の時は不足分を納付しなければなりませんが、同額の場合は確定保険料申告書のみの提出となり、概算保険料が確定保険料を超えていた場合は未納の保険料等に充当するか若しくは事業主に還付されます。

納付期限

納付期限は、事業の期間が予定されていない事業(継続事業)と、事業の期間が予定されている事業(有期事業)とでは異なります。有期事業に該当するのは、建設の事業と立木の伐採の事業です。

有期事業では、次の要件に該当する場合、個々の有期事業とは判断されず継続事業と同様の扱いを受けることとなります。

  1. それぞれの事業が有期事業であること
  2. 事業主が同一であること
  3. それぞれの事業が労災保険の保険関係が成立している事業のうち、建設の事業又は立木の伐採の事業のいずれか一方のみに属するものであること
  4. それぞれの事業が労災保険率表による事業の種類を同じくすること
  5. それぞれの事業が厚生労働省令で定める規模以下()のものであること
  6. それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行われていること
  7. それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所(一括事務所)で取り扱われていること
  8. それぞれの事業が上記7の一括事務所の所在地の都道府県労働局の管轄区域内又はこれに隣接する都道府県労働局の管轄区域内で行われること
厚生労働省令で定める規模以下とは、概算保険料額が160万円未満かつ建設の事業の場合、請負金額が1億9千万円未満、立木の伐採の事業の場合、素材の見込生産量が1,000立法メートル未満の事業規模を指します。
継続事業、一括有期事業の納付期限
事業を開始したとき:事業を始めた日の翌日から50日以内(概算保険料)
年度更新の場合:6月1日から40日以内(7月10日まで)(確定保険料、概算保険料)
保険関係が消滅したとき:消滅した日の翌日から50日以内(確定保険料)
有期事業の納付期限
事業を開始したとき:事業を始めた日の翌日から20日以内(概算保険料)
保険関係が消滅したとき:消滅した日の翌日から50日以内(確定保険料)

継続事業における概算保険料の延納

概算保険料は条件を満たせば、事業開始時や年度更新時に一括納付するところを、分割して納付することができます。これを概算保険料の延納と言います。

継続事業においては、概算保険料額が労災・雇用保険とも成立していれば40万円以上、片方のみ成立していれば20万円以上であることが条件となります。ただし、労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は金額の制限はありません。また、年度途中で事業を開始した場合は、開始月が10月以後の事業については延納は認められません。

延納が認められれば、概算保険料を3等分又は2等分し、端数があれば第1期分に加算します。

延納できる回数と納期限は次の通りです。

4月1日から5月31日に事業開始又は年度更新
期間納期限事務組合委託
第1期事業開始日~7月31日事業開始日の翌日~50日以内又は年度更新の場合は7月10日
第2期8月1日~11月30日10月31日11月14日
第3期12月1日~3月31日1月31日2月14日
6月1日から3月31日に事業開始
期間納期限事務組合委託
第1期事業開始日~11月30日事業開始日の翌日~50日以内
第2期12月1日~3月31日1月31日2月14日

労働保険事務組合に事務委託すると、第2期及び第3期の納期限が2週間(14日)延長されます。

有期事業における概算保険料の延納

有期事業の延納条件は、概算保険料が75万円以上又は労働保険事務組合に事務委託していることが必要です。また、事業の期間が6か月以内の事業については延納できません。

継続事業のように事業開始の日によって延納できる回数が制限されることはありません。さらに、継続事業では延納回数は最大3回までですが、有期事業はその事業の期間が終わるまで考慮されますから、延納回数が4回、5回などとなる場合もあります。

有期事業における概算保険料の延納

4月1日から5月31日までに事業を開始すれば、4月~7月までを第1期として、続く8月から11月までを第2期として以下同様に延納できます。ただし、6月1日から7月31日あるいは10月1日から11月30日、2月1日から3月31日までの間に事業を開始した場合は、それぞれ次の期に算入されます。つまり、延納の回数が1回少なくなります。

いずれの場合でも、第1期は事業開始日の翌日から20日以内に労働保険料を納付しなければなりません。また、継続事業では、労働保険事務組合に事務委託すると、第2期、第3期の納期限がそれぞれ2週間(14日)延長されましたが、有期事業においてはその処置はありません。

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