雇用保険適用事業

原則は、労働者を1人でも雇う事業所は雇用保険の適用事業となります。ただし、次の事業に関しては当分の間、加入、脱退が自由にできる任意適用事業とされます。

暫定任意適用事業・・・個人経営の農林水産業で常時雇用する労働者が5人未満の事業

雇用保険が適用されない者

労災保険より雇用保険の適用事業は範囲が広いのですが、雇用保険に加入できる労働者は年齢や労働時間、雇用形態により制限される場合があります。

  • 65歳に達した日以後に雇用される者(※1)
  • 1週間の所定労働時間が20時間未満である者(※2)
  • 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(※3)
  • 季節的に雇用される者であって、4か月以内の期間を定めて雇用される者又は1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者(※4)
  • 学校教育法第1条等の学校の学生又は生徒であって、厚生労働省で定める者(※5)
  • 船員法第1条に規定する船員であって、漁船(政令で定めるものに限る)に乗り組むため雇用される者(※6)
  • 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給される諸給与の内容が求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる一定の者

ただし、次に該当する場合は雇用保険の被保険者になることができます。

※1
同一の事業主に65歳に達する前から雇用され65歳以後も引き続き雇用されている者
短期雇用特例被保険者に該当する者
日雇労働被保険者に該当する者
※2
日雇労働被保険者に該当する者
※3
前2か月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者
日雇労働者であって一定の地理的要件を満たすこととなる者
※4
日雇労働被保険者に該当する者
所定の期間を超えて引き続き同一の事業主に雇用されるに至った者
※5
卒業を予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているもの
休学中の者
定時制の課程に在学する者
※6
1年を通じて船員として適用事業に雇用される者

雇用保険料

雇用保険料は、その事業で使用する全労働者の1年間における賃金を合計した額と雇用保険率で算出します。

雇用保険料=年間賃金総額×雇用保険率

賃金総額

労災保険の賃金総額を算出するのが困難な場合の特例は雇用保険にはありません。

雇用保険率

厚生労働大臣は、一定の場合において必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、1年以内の期間を定め、雇用保険率を次の範囲内で変更することができます。

  • 一般の事業:1.35%~2.15%
  • 農林水産業・清酒製造業:1.55%~2.35%
  • 建設の事業:1.65%~2.45%

ただし、農林水産業であっても、季節的な事業状況の変動が少ない牛馬育成・酪農・養鶏・養豚の事業、園芸サービスの事業、内水面養殖の事業、船員法第1条に規定する船員が雇用される事業については、一般の事業に区分されます。

雇用保険率は、失業等給付及び就職支援法事業分と雇用二事業()分とに分けることができます。このうち、失業等給付及び就職支援法事業分だけが労使折半となり、雇用二事業分は事業主負担となります。

雇用二事業

雇用保険は労働者への保険給付がメインですが、事業主への助成金事業として、雇用安定事業と能力開発事業の2つがあります。この2つをまとめて雇用二事業と呼んでいます。
雇用安定事業は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者を解雇せず休業させて雇用を継続させるときに助成や援助を行ったり、高年齢者等に対する雇用の安定を図るための措置を講じた事業主に助成や援助を行います。一方、能力開発事業は、事業主が行う職業訓練等に対する助成や援助を行ったり、有給教育訓練休暇の普及促進・公共職業訓練等の受講の援助を行います。

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